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【スポーツニッポン】"緑の香り"原点回帰で取り戻せ(2006年1月19日)

 去年のいまごろ、わたしは恥ずかしながらヴェルディを新シーズンの優勝候補にあげていた。天皇杯での鮮烈な勝ちっぷり、個性的なタレントの台頭は、名門の復活を予感させるに十分だったからである。

 だが、結果はご存じの通り。サッカーの世界では結果が内容を蝕(むしば)んでいくことが多々ある。どれほど素晴らしいサッカーをしていても、それ が結果に結びつかない場合、選手の心中に芽生える疑心暗鬼がチームを崩壊させていってしまうのだ。シーズン終盤、J2降格を間近にしたヴェルディに、天皇 杯での若々しい香りを感じ取ることはできなくなっていた。

 とはいえ、これはチャンスかもしれない。


 昨日、ある選手から電話があった。「ラモスさんから帰ってこいって言われたら、行かないわけにはいかないでしょ」

 元来、ヴェルディのルーツでもある読売クラブは、既存の日本サッカーに飽き足らない男たちによって形成された、アウトロー的な存在だった。その自 由闊(かっ)達なサッカーは、時として審判から目の仇(かたき)にもされ、露骨に不利なジャッジを受けたことも1度や2度ではない。それでも、読売クラブ がファンから支持され、ヴェルディ川崎となったJリーグ初期の黄金時代につなげることができたのは、所属する選手たちが自分たちの着ているユニホームに強 い誇りと愛着をもっていたからだった。

 だが、読売クラブ時代を知る選手たちが1人抜け、2人抜けしていくうち、ヴェルディは特別なクラブではなく、数あるJリーグのチームの1つになっていった。いまになって思えば、昨年の天皇杯優勝は、消えゆくろうそくの最後の煌(きらめ)きだったのかもしれない。

 ただ、心ならずもJ2に降格してしまったことにより、ヴェルディにリセットボタンを押す機会が与えられたのも事実である。

 監督はラモスになった。コーチには都並が帰ってきた。ヴェルディで育ち、ヴェルディを愛した男たちによる、新しいヴェルディの創設が始まろうとし ている。彼らが求めているのは、数あるチームの1つとしてヴェルディを選ぶのではなく、ヴェルディでのプレーを切望する選手たちである。J1に残っていた らできなかったであろう原点回帰が、J2に転落したことで可能になった。

 主力を軒並み引き抜かれたことにより、J2での闘いは厳しいものになる。しかし、J1への帰還がなったとき、このチームはかつての香りを取り戻しているかもしれない。


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