1年前の段階で、わたしが予想したW杯決勝のカードはアルゼンチン対スペインだった。ここにブラジル、イタリア、メキシコあたりがからんでくるというのが、展開予想である。
いま、その思いは大いに揺らいでいる。
アルゼンチンに関していうならば、リケルメの欧州CL後遺症が心配である。バルセロナで1度は木っ端みじんに粉砕され、昨シーズンあたりから再びコツコツと積み重ねてきたであろう彼の自信は、決めればヒーローとなるPKを外したことで吹っ飛んでしまったのではないか。
大会の新星として期待していたメッシは、出場すら危ぶまれる状況である。攻撃の軸2枚が置かれた現状を見ると、アルゼンチンを推す気持ちにいささかの迷いが生じてくる。
逆にわたしの中での評価が上がってきたのがスペインである。1年前の予想はどちらかというと願望の強いものだったが、バルセロナのMFイニエスタ の急激な成長によって、これならば本当に決勝進出を予想してもいいのでは、という気になってきた。もしかすると、今大会の新しいスターはメッシではなく、 イニエスタになるかもしれない。
スペイン以上に注目したいのはフランスである。ご存じの通り、大黒柱としてチームを支えてきたジダンが今シーズン限りでの引退を表明したことで、チームが一気にまとまる可能性がある。
前回大会のフランスは、R・マドリードで欧州CLの決勝まで進出していたジダンが心身ともに疲弊しきった状態だったが、今回はその心配もない。ア ンリが円熟期を迎えているだけに、「ジネディーヌのために」という思いがここ一番に弱いフランス代表に一本芯(しん)を通すかもしれない。
そもそも、なぜこの時期に引退発表なのかと考えると、ジダン自身、チームに喝を入れたかったからなのでは、という気もしてくる。目下のところ、 ブックメーカーのオッズでは7番人気にすぎないフランスだが、4年前のブラジルがやったこと、つまり2大会ぶりの優勝という可能性はかなり高まってきたの ではないかと思う。
というわけで、いま現在のわたしが予想する今大会の決勝はフランス対スペイン。もっとも、この予想の一番の難点は、G組のフランスとH組のスペインは、ヘタをすると決勝トーナメント1回戦で激突してしまうということである。


