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【スポーツニッポン】スター不在の甲府が自信をつかんだ(2007年4月26日)

 以前、ある競馬騎手から「俺(おれ)たちは負けるのも仕事のうちだから」と言われてビックリしたことがある。なるほど、競馬の場合は勝者は1人と1頭だけ。あとは全員が敗者となる宿命を背負わされている。手痛い敗北をいかに早く消化して次のレースに頭を切り替えるか。優秀なジョッキーにはそうしたことも必要になってくる。

 ただ、理屈ではわかっていながらも彼の言葉に驚いてしまったのは、わたしがサッカー畑の人間だったからだろう。試合数が少ないサッカーの場合、1つの負けは騎手の1敗、野球選手の1敗よりも相当に重い。4試合続けて負けるようなことがあれば、チームもファンも、この世の終わりのような気分を味わうこととなる。

 それだけに、わたしがいま驚いているのは甲府の鮮やかな逆襲である。繰り返すが、サッカーにおける1敗の意味は重い。連敗の意味はもっと重い。それゆえ、サッカーではどれほどいい内容の試合を続けていても、結果が伴わないとチームが壊れていってしまう場合が多々ある。結果が内容を蝕(むしば)んでしまうわけだ。

 今シーズン、結果だけを見れば甲府のスタートは惨憺(さんたん)たるものだった。つないでつないでつなぎまくり、どんな相手にでも果敢に攻め込もうとする姿勢は見られたものの、勝利どころかゴールすら奪うことができない試合が続いた。

 そうでなくてもスター選手のいない甲府である。正直、わたしは彼らが壊れていってしまうことを予想した。スターと呼ばれる選手とそうでない違いの1つには、苦境に立たされた際に自分を支えてくれる気持ちの柱、つまり自信の有無があるからである。

 それがどうだろう。魂を叩きつぶされるような思いを味わったであろう開幕4連敗を食らってもなお、甲府は壊れなかった。第5節、神戸相手に壮絶な撃ち合いを制したかと思えば、第7節には旋風を巻き起こしつつある柏をも粉砕した。同じ節、川崎Fが浦和を倒したこともあって、あまり大きなニュースにはならなかったが、サッカー界の常識を考えれば、驚くべきカムバックである。

 実を言えば、わたしは今シーズンの甲府を降格候補の1つとみていた。だが、地獄の4連敗から鮮やかな復活を遂げた彼らは、すでにライバルが持ち合わせていないあるものを手にしたといっていい。

 自分たちのサッカーへの自信――。

 苦しい戦いが続くことは間違いない。それでも、いまのわたしは開幕前の予想を翻したい思いでいっぱいである。



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