株式会社クロス・ビー

NEWSPAPER


【スポーツニッポン】Jに足りない"自動車界の常識"(2007年5月31日)

「今日は加茂さん主催の食事会だから」

 サッカー専門誌の記者をやっていたころ、編集長がそういって出かけていくのを見送った記憶がある。まだJリーグは発足しておらず、サッカーといえばマイナースポーツの象徴のように扱われていた時代だった。

 昨年からCOTY(日本カーオブザイヤー)の選考委員を務めさせていただくようになった関係で、自動車関係の仕事が多くなっている。先日も、世界3大レースの1つと言われるインディ500のプレスツアーに参加してきた。

 自動車、特にレース関係の世界に足を踏み入れてみて実感するのは、チーム、ドライバーの「営業努力」である。たとえレースを目前に控えた状態であろうとも、スポンサーへの挨拶(あいさつ)は欠かさずに行われ、状況によっては取材に訪れた記者のところにも顔を出す。その際、彼らがまず口にするのは「お忙しいところをお越しいただきありがとうございます」という言葉である。今回のインディ500でも、日本人ドライバーたちは2度も記者たちの食事会に顔をだし、旧知の記者ばかりではなく、自動車門外漢の記者、編集者ばかりが集まるテーブルにも積極的に足を運んでいた。

 無論、こうしたやり方には賛否両論があってしかるべきである。メディアの側からすれば、個人的に親しくなりすぎることで批判の矛先が鈍くなるという懸念もあるだろう。

 だが、それはあくまでもメディアの論理であり、取材される側からすれば、少しでもメディアとの距離を縮めようとするのは当然のことである。メディアとしても、利用されたくないというのであれば、参加しなければいいだけの話だ。

 日本代表に選ばれるような選手はともかく、いま、Jリーグでプレーする選手の多くは無名の存在である。中には知名度など必要ないと考えている選手もいるだろうが、そうでない選手も決して少なくはないはず。だが、現状をみる限り、Jリーグのチームはあくまで取材されるのを待つだけで、自分たちからアプローチをしていることはほとんどないように思える。

 その人柄もあったのだろうが、日産時代の加茂周氏に親近感を抱く記者は多かった。わたしのような天の邪鬼(あまのじゃく)がいたのは事実としても、氏の地道な「営業努力」は確実に効果をあげていた。不思議でならないのは、自動車会社と関係の深いチームが多いJリーグで、なぜ自動車界の常識が無視されているのか、ということである。



LINK





FC琉球

AD