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【スポーツニッポン】五輪代表諸君よ、大いに苦しめ(2007年6月14日)

 北京を目指す五輪代表の最後の相手が決まった。サウジアラビア、カタール、ベトナム。アテネの最終予選に比べると、かなり厳しい顔ぶれとなった。4年前、「日本が五輪にいける可能性は何%ですか?」と聞かれるたび「ほぼ100%」と答えていた記憶があるが、今回は「フィフティ・フィフティ」としか言いようがない。


 宿敵イラン、さらには今予選からアジアに参入してきた強豪オーストラリアを退けてきたサウジアラビアはもちろんのこと、カタール、ベトナムも侮りがたい。W杯予選も含め、ここのところ比較的楽な最終予選が多かった日本だが、今回は久しぶりにしびれるような戦いを強いられることになる。

 ただ、若い選手にとっては素晴らしい経験となる。

 いわゆる「黄金世代」と言われた小野や稲本の世代は、間違いなくここ数十年でもっとも豊かな才能が固まって出現した世代だった。にもかかわらず、わたしが期待したほどに彼らは「化けて」くれなかった。その理由の1つに、わたしは厳しい予選の経験不足が関係しているのではないかという気がしている。

 シドニー五輪の予選は、すでに十分に経験を積んだ中田英寿がチームの象徴となり傘となった。2002年のW杯は予選免除。そして、W杯ドイツ大会の予選でも、日本よりも強い相手と戦うことはなかった。言ってみれば、自分たちが番狂わせを起こす側となる真剣勝負の経験が、彼らには決定的に不足していたのである。

 アトランタ五輪に出場した選手たちは、最終予選の段階で明らかに自分たちよりも強い相手サウジアラビアとの死闘を経験していた。その経験が、本大会でのブラジル相手の大番狂わせにつながった部分は間違いなくある。さらに言うならば、そうした経験を持たずに本大会に出場してしまったがゆえに、自分たちと互角、もしくは格上のチーム相手になすすべもなく敗れていったのがドイツでの日本代表だった。

 五輪代表の選手諸君よ、大いに苦しめ。

 相手の猛攻にパニックになりかける瞬間をいかにして乗り切るか。絶望的な劣勢の中から、いかに相手の喉笛(のどぶえ)を切り裂く術(すべ)を見いだすか。すべての経験が、今後の血となり肉となってくる。「谷間」と言われ続けた世代が、「黄金」と呼ばれた世代にも届かなかった境地にまで足を踏み入れるのは、決して不可能なことではない。



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