株式会社クロス・ビー

NEWSPAPER


【スポーツニッポン】「Jの王子」生み出すしたたかさを(2007年6月21日)

 数年前、日米野球で来日したヤンキースのトーリ監督の言葉に感銘を受けたことがある。

 「今日だけは、君はヤンキースよりも偉大だ」

 凱旋試合ということもあり、日本中のメディアから注目される松井秀喜に対しての言葉だったそうだが、見方を代えれば、本来は松井だろうがAロッドであろうが、おそらくはベーブ・ルースであろうが、ヤンキースほどには偉大ではないという常識が、アメリカ球界にはあるということの証でもある。

 その点、日本人のスポーツに関する常識は若干異なっている。最近の報道を見ていると、ハンカチ王子は早稲田大より偉大であり、ハニカミ王子はゴルフ界より偉大であるかのような錯覚を覚える。日本人選手が所属する海外スポーツの報道でも、日本人選手の結果にこだわるばかり、チームの勝敗が無視されてしまうことが多々ある。チームや競技そのものより、個人の方が大きな存在となってしまう国、それが日本である。

 個人的には、スポーツに対するこうした考え方をわたしは嘆かわしく思っているが、ただ、それはあくまでもメディアの中にいるひねくれ者の論理でもある。

 スポーツ文化の未熟さの表れであろうがなんだろうが、多くの日本人がチームや競技よりも個人に重きをおいてしまう場合があるのは事実である。閑古鳥が鳴いていた大学野球のスタンドはにわかファンで埋まり、ハニカミ王子が出場したアマチュア・トーナメントには空前の観客が押し寄せた。

 こうした気質をプロが利用しないでどうする?

 いまのJリーグ界に、チーム、競技よりも偉大だとされる選手がいるだろうか。かつてのカズやジーコ、リネカーのように、その存在だけでファンの足をスタジアムに向けさせた存在がいるだろうか。そうした選手を獲得する、もしくは育成しようとする努力がなされているだろうか。

 どれほど偉大な選手であってもチームよりは偉大ではないという常識が行き渡っている国、アメリカのメジャーリーグでは、一方で、スター選手に焦点を絞ったチームグッズの開発が次々と進んでいる。利用できるものは利用する、プロならではのしたたかさである。

 いま、Jリーグのどれだけのチームに「ウチのこの選手を売り出したい」と意図しているところがあるだろう。海外に才能を売り飛ばしているチームならば、いくらでもあるのだが。



LINK





FC琉球

AD