A代表が国際大会に出場するなど夢のまた夢だった70年代から80年代にかけて、若年層の代表チームは日本のサッカーファンにとって唯一の希望だった。特に、79年にワールドユースが日本で開催されてからは、その傾向がより強くなった印象がある。
だが、A代表がW杯に出場することが当たり前になってくると、若年層への注目は徐々に薄れ始めた。もっとも、これはある意味で健全な変化でもあった。最高のプレーヤーだけが、最大の注目を浴びることができるという常識が、行き渡り始めたことの証明だからである。
そんなわけで、まもなくカナダで開幕するU―20W杯への関心は、さほど高いとはいえない状況にある。ただ、個人的にはこの大会が日本サッカーにとって新時代に突入するきっかけになるのではないか、という予感がしている。
昨年のW杯ドイツ大会で痛感させられたのは、日本人のメンタリティーが国際大会で勝つ段階まで到達していない、ということだった。アジア予選では「絶対に負けられない」という雰囲気が蔓延(まんえん)していたにもかかわらず、肝心要のW杯本番になると、はなから敗北をも視野に入れたかのような空気がチームの内外に漂ってしまう。
だが、それも少しずつ変わりつつある。
つい最近までの日本選手にとって、最大の目標は世界大会に出場することであり、そこで勝つことではなかった。そのため、本大会への出場権を獲得してしまうと、次の試合ではまるで覇気のない戦いをしてしまうことが多々あった。
ところが、昨年U―20、もしくはU―17世界選手権の予選を戦った若い選手たちは、本大会への出場権を獲得してもなお、勝利への欲望を鈍らせなかった。その姿は、失意に終わったW杯の衝撃を打ち消してくれるほどの驚きをわたしに与えてくれた。
日本選手のメンタリティーが変わりつつある。86年に地元でW杯を開催したメキシコが、94年あたりから世界的な地位を築き始めたように、日本にもまた、目標が世界に出ることではなく勝つことだと考える世代が育ちつつある。
伝説の名手"リトル"アーチー・ゲミルに率いられたスコットランド、中南米史上最強と言われるメキシコと渡り合ってきたコスタリカ、そして前回大会準優勝のナイジェリア。タフな相手と同居することになった1次リーグだが、上位進出の可能性は十分にある。アジア杯を戦うA代表のニュースを片隅に追いやるぐらいの活躍を、若い日本選手たちに期待したい。



