多少の驚きを覚えつつも、思わずニヤリとしてしまった。4カ国対抗トーナメントの最終戦、ボツワナに敗れた直後の反町監督のコメントである。「この1年、何をやってきたのかわからないような戦いでした」
怒りをかみ殺すのに必死、といった表情でのコメントだった。決して強豪がそろったとは言い難い大会で、優勝どころか3位に終わってしまったのだから、監督の怒りもわからないではない。
ただ、内容に目を向ければ、褒められたものでなかったのは事実にせよ、反町監督があれほど激怒するほどひどいものではなかった。少なくとも、ここ1年間、ボツワナ戦よりもひどい内容の試合はいくつかあった。
つい最近にも、同じようなことがあった。
ご記憶の方も多いだろうが、先のアジアカップ初戦、カタール相手に引き分けてしまったあとのオシム監督も、インタビュアーが思わずたじろぐほどの怒りをみせたものだった。
格下のカタール相手に引き分けてしまったのだから、監督として腹立たしいのはわかる。ただ、あの試合が低調な物になってしまった原因の大半は、カ タール側にあった。もし、ヨハン・クライフが日本の監督だったとしたら、試合後の記者会見はサッカーの創造性を破壊することに腐心した相手側への怒りのコ メントが噴出したことだろう。
無論、オシム監督にも相手側に対する怒りはあったはずである。ただ、カタールの監督は昔からの旧友であり、そして何より、あの試合後のインタビューは生ぬるい試合をしてしまった日本選手の気持ちを引き締め、チームに危機感をもたらすという狙いがあったように思う。
反町監督は、それを近くで見ていたはずである。
最終的には4位に終わったとはいえ、アジアカップでの日本代表がやってしまった一番お粗末な試合は、最初のカタール戦だった。つまり、カタール戦のあとは、日本は同じ失敗を繰り返さなかった(違う失敗はしたが......)。
ベトナムでの日本代表がそうだったように、若い五輪代表の選手たちは、反町監督の怒りを知ったことで、いささか慄然(りつぜん)としたはずである。主審に対して責任転嫁するのも忘れるほどに。
正直、五輪本大会への道はここ数大会で一番厳しい。それでも、反町監督の怒りによって、チームにスイッチが入ったことは間違いない。


