隆盛を極めたセリエAが、苦境の時代に陥りつつある。
欧州CLでの上位進出こそ逃したとはいえ、これでイタリアのサッカーが地盤沈下した、と決めつけるのは早計だろう。その競争力は依然として高いレベルにあり、ポテンシャルとしては相変わらず欧州3強の位置を堅持していると言っていい。
問題は、観客動員である。
一昔前であれば、イタリアのスタジアムでプレーすることは多くのサッカー選手にとっての夢でもあった。レベルの高いカルチョ(サッカー)と、情熱的なティフォージ(サッカーファン)の存在は、世界中からスタープレーヤーたちを呼び込んだ。
それが、なぜ?
一つ言われているのは、W杯ドイツ大会前に起きた八百長事件の影響である。相当数のファンが、あの事件でサッカーから離れ、依然として帰って来ていないのだという意見がある。だが、セリエAの観客動員は、それだけでは片づけられない水準にまで落ち込んでしまった。ついには、プレミアリーグどころか、その下部リーグに当たるイングランド・チャンピオンシップにまで観客動員数で抜かれてしまっているのだ。
イングランドの下部リーグは、あるいはドイツのブンデスリーガは、セリエAよりも高い水準のサッカーを提供しているのか。だからファンは、スタジアムを埋めつくしているのか。
そんなはずはない。
人々はなぜ、スタジアムに足を運ぶのか。なぜテレビ観戦もできるのに、わざわざ時間とお金をかけて出かけていくのか。
スタジアムでしか味わえない興奮を楽しむため、ではないだろうか。
チャンピオンシップが開催されるスタジアムは、すべてがフットボール専用場である。ブンデスリーガも、以前に比べればはるかに専用場の率が高くなった。
翻ってイタリアはどうか。無論、サンシーロのような素晴らしい専用競技場もある。ただ、他国と比べても陸上競技場の率がかなり高いのも事実で、今度の欧州CL決勝が開催されるローマのオリンピコも陸上競技場である。
スタジアム力の不足。わたしは、それもセリエAの観客動員減少の一因になっているのではないかと思う。
ならば、日本はどうか。
イタリアにスタジアム力が不足しているというのであれば、日本の場合は致命的に不足しているといっていい。広島カープは新しいスタジアムを持った。なぜサッカーは、五輪やW杯といったイベントがない限り、新しいスタジアムを持つことができないのだろう。
魅力的なスタジアムの不在は、日本サッカーにとって命取りになりかねないのだが。



