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【スポーツニッポン】代表の足引っ張る「南ア=危険」(2009年6月26日)

 来年のW杯開催国、南アフリカの治安問題がずいぶんと取り上げられるようになった。これは日本人のみならず、世界中のファンが注視している問題でもある。

 とはいえ、中には首を傾(かし)げたくなるような報道もある。コンフェデ杯に出場している選手のホテルが窃盗の被害に見舞われた。よって南アフリカは治安が悪い、と結論づけるものである。

 ならば、アトランタも五輪の開催が危ぶまれるほど治安は悪かったのだろうか。あの大会に出場したサッカー日本代表は、最終戦を前に大がかりな窃盗団によってかなりの被害を被っている。6年前のコンフェデ杯では、一流ホテルに宿泊していた日本記者団が、部屋に置いておいたパソコンを盗まれるといった被害にも遭った。

 だが、よってフランスの治安が悪い、という報道はなかったように思う。

 南アフリカの治安がよくないのは事実である。そして、他ならぬ南アフリカの大会関係者自身が、最も気にしているのもこの問題である。わたしがこの国を訪れたのは1年と少し前だが、最近南アフリカを訪れた知人によると、ヨハネスブルクの空港は大々的に整備され、W杯ホスト国にふさわしい佇ま(たたず)まいになってきたと聞く。国をあげての治安対策も、確実に浸透しつつあるという。

 だが、日本で流される南アフリカの報道は「どうせ治安が悪いに決まっている」という先入観に立ったものが多く、窃盗事件をそのまま殺人事件に結びつけるような乱暴な切り口が目立つ。ワイドショーでは「日本代表が危ない」とまでブチあげているところもあった。

 行き過ぎである。危ないとしたらファンであって、代表が危険にさらされることはまずない。そして、過剰に南アフリカの危険に焦点をあてる報道のあり方は、日本代表の足を引っ張ることにもなりかねない。

 なぜサッカーではホーム・アドバンテージが強いのか。慣れ親しんだ日常に近い状況で試合ができるから、である。普段通りの力を発揮できるチームと、そうでないチーム。それが明暗を分ける。

 そうでなくても、たいていの日本人にとってアフリカは遠い。欧州でプレーしている選手にとっても未知の大陸となる場合が多いだろう。いまの日本は、そんな選手たちからどんどんと平常心を奪い取ろうとしている。

 W杯は、選手や現場の努力だけではどうにもならない問題を秘めた大会でもある。残念ながら、現状の日本社会は、ベスト4という目標を達成するにはほど遠いレベルにある。



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