日本人の付和雷同体質。エースのジョーがバッシングを受けたのには、もちろん、それも大きく絡んでいるでしょう。社会的な事件にもなった現象が、たった一つの理由によって起こったはずもない。「しがない大学生さん」、ナイスつっこみ。こういう異論、大歓迎です。
ただ、ジョー君とロナウドのケースでは、ブーイングを浴びせた人たちの「属種」がいささか違います。ロナウドにブーを浴びせるのは、アンチ・ユナイテッド。ジョー君に水をぶっかけたのは......アンチ日本人? 弱いチームのファンからすると、確かにロナウドの態度は挑発的で、自分たちがバカにされたような気分になることもあるでしょう。だから罵声を浴びせる。気持ちはよくわかります。
でも、ジョーって日本人を挑発してましたっけ?
やっかいなのは、体育とスポーツはまるで本質が異なっているのだけれど、ただ、似通った部分がないわけではないということ。ロナウドは態度が悪いからブーを浴びる(ま、他にも理由はあるでしょうけど)。ジョー君はガムを噛んでいたから水を浴びた。確かに似ている。似ているけれど、でも、少し違う。でもって、この違いこそが、日本の将来に大きな影響を及ぼしていくのではないか。スポーツという言葉を体育に置き換えてしまうことで、どんどんと弊害が出てくるのではないか。そう考えて始めた今回のシリーズだったわけです。
たぶん、あと数回で「一番言いたいこと」にたどりつきます。それまで、しばしのおつきあいを。
さて、案の定というべきか、田中のマー君をイワせてからというもの、虎さんチームはすっかり勢いに乗った感があります。今日は福原が完封で3連勝。昨日は来日したばかりのブラゼルがいきなりの決勝2ラン。やっぱ、名前がBで始まる阪神の助っ人はいいのかもしれない。
ちなみに、このブラゼル、昨日家を出る際、奥さんに言われたそうです。
「あなた、楽しんできてね」
よく聞かれる言葉ではあります。オリンピックやワールドカップといった大きな大会に出場する選手が、大会前に抱負を聞かれて「楽しんできます」。ちょっと前だと、頭の固いおっちゃんたちが「けしからん」と激怒したものですが、最近では、わりと抵抗なく受け入れられるようにもなりました。
でも、頭が柔らかかったはずの若きカネコタツヒトも、なんかひっかかるところはあったんだよなあ。「楽しむ」というわりには、コメントしてる選手たちの表情は硬いし、なんていうか、プレッシャーから逃れるためにエクスキューズしてるって感じがして。
で、ここでもう一度思い出してみます。スポーツの原点とはなんだったのか。娯楽、です。好きだから始めた。楽しいから続けた。プレーヤーとしてレベルが上がり、注目とギャランティが高まっていくにつれ、プレッシャーも高まっていく。楽しかったから始めたはずのスポーツが、自分を苦しめるようにもなっていく。
「楽しんできてね」=「原点に帰ろうよ」
ブラゼル夫人が旦那さんにかけた言葉には、だから、そんな意味が込められていたんじゃないかという気がします。
体育の原点って、なんだったんでしょうか。楽しみ、ではない。楽しいからって授業中ヘラヘラしてたら、教師から雷が落ちてきます。
つまり、原点に帰っても楽しみがない。
これは選手に限らず、ほとんどの日本人にとっていえること。ということは、選手が口にする「楽しみたい」は、欧米の人たちが口にする言葉とは微妙にニュアンスが違ってくるし、受け取る日本人の感受性も、またしかり。素敵な言葉なはずなのに、どうしてあんなにも違和感を覚えてしまったのか。「体育」というキーワードをあてはめると、その答が見えてきたような気がするのです。
「体育にまつわるエトセトラ」、次回も続きます。




やっしーさんに同感。
外国語で"楽しむ"的な言葉≠日本語で"楽しむ"だと感じます。
漢字で"楽"と書かれる(イメージする)と、
"らく"するという意味が無自覚に先行する!?ような。
個人的に"面白がる"の方が意味的にはしっくり来きますが、
でも、語呂がよろしくない。
"体育"をはじめ、外来語を(に)翻訳することの難しさと、
言葉ってものの奥深さを改めて感じるエントリです。
で、なによりも必要なのは、言葉に対する自覚と、
言葉の力に対する謙虚さなのでは。
と、言葉のプロにコメントアップ。
久し振りにコメントさせていただきます。
私の個人的な気持ちとして、「体育」というモノ自体に、
「軍隊的な体育」と「スポーツ的な体育」があると思っています。
「整列」「前へ習え」「右向け右」などは完全に軍隊ですもの。当然笑い声などありません。
私の通っていた高校では、3年間の授業の半分以上を、サッカーのミニゲームに費やしました。しかも結構本気で。
でも、サッカー部も野球部もパソコン部もみんな笑顔でボールを蹴っていました。上手いなりに、下手なりに。
まぁ、ミニゲームは「成績」には反映されていないとは思いますが。
理科の中に、物理や生物、地学がある様に、体育の中にスポーツや保健、軍隊?(苦笑)があると考えれば多少はスッキリする様に思えます。
と、考えれば「国民体育大会」では名称に?がついてしまいますが・・・
そういえば、軍隊のしてる訓練って、それぞれ単体だと「スポーツ」として成り立ちそうですよね。それも不思議な気がします。
なんだか、おかしなコメントになって申し訳ないです。失礼いたしました。
お初にコメントさせて頂きます。
ブラゼルの奥方が発した
「楽しんできてね」についてですが、
おそらく「Enjoy」が訳されたものだと思われます。
しかし向こうの人に言わせると、
「Enjoy」は「楽しむ」ではなく、
「全力を出し切れ」というニュアンスに近いそうです。
ラグビー日本代表選手(名前忘れた)が、
イギリスで指導を受けた時にそう言われたと。
私事で恐縮ですが、大学で英語劇に出演した際、
演出家の先生(オーストラリア人)に終演後、
「Enjoyできたかい?」と聞かれ、
「イエース!すごい楽しかったー!」と返事してしまいました。
後に、本当の意味を知り赤面した次第です。
このメンタリティーの差は、
「参加することに意義がある」の
解釈にも見えてきます。
「楽しむってことはつまり、全力でやれることをやりきること!」
ってことですかね?
こんにちは。
>体育にまつわるエトセトラ
奥が深いですねぇ~。我ら日本人だけでなく、世界と話をしたら、それこそいろんな意見が飛び交うかと。本当に深い話だと思います。次回も楽しみにしております。
他の方のコメントより
>日本代表
予選突破はめでたい!と思いますが、私は素直に喜んでません。まだ課題多し、と思うのです。岡田JAPANは「ベスト4」を掲げてますが、夢のまた夢のような。皆さんのお叱りはごもっとも!ですが、もう少し変化を見せてもらわないと、希望が持てない私です。
金子さん、庭先で大変失礼しました・・・。
金子さん、どうもです。
「楽しむ」という概念ですが、オリンピックやサッカーW杯やWBCなどと、リーグ戦などは違う面があると思うのですがね。
前に行われたWBCや、サッカーの予選を見ていて思うのは「勝て」という部分のみです。素晴らしいプレイを見たい、と思う前に、まずは「勝て」と。ですので見ている者からすると、そこには「楽しむ」などは、一切挟ませないと。ですから、メダルが取れなかったオリンピック選手が「楽しかったです」などの発言をすると、一斉にバッシングが起こる、と思うわけです。ですので、そこには「娯楽」という部分が無い世界に思うわけです。
ですがリーグ戦になると「楽しみたい」という思いが沸くと思います。負けていたとしても「ジェット風船を飛ばして楽しみたい」や「選手の良いプレーが見れて楽しかった」や、勝敗関係無く、マツダスタジアムみたいな娯楽施設を楽しむ事も出来ます。つまり、スポーツ=娯楽という部分は、リーグ戦では育ってきていると思うのですがね。
ですが、確かに「見ている側」と「する側」の、スポーツに対しての娯楽は違いますからね。する側が「楽しむ」と言って、許容できる環境にはまだ無いのかもしれません。
それと、本日のフジTVで朝やっている番組で「サッカー人気低迷か」などの特集が行われていました。
フランス大会の予選の盛り上がりに比べて、今回は寂しかったという内容でしたが、ま~そこまでは理解できます。しかし、そこに野球をやっている子供と、サッカーをやっている子供を出してきて、未だに時代錯誤な「野球対サッカー」などの対立図を出してくることに、この国のメディアの乏しさを感じましたね。
何の意味があるねん!というやつですわ。
スポーツを色々な形で、日本の中にもっと成熟させたい気持ちはあるのですが、メディアがこんなんだと、まだ先の話なのでしょうかね。
体育とスポーツ。
やっぱり違うんですかね。
確かに私も学生時代、走るのが楽しくて笑顔で走っていたら
先生に「笑うな~っ!!」って怒られました。
こっちは真面目に走っていたのに。
表情のことを注意されてびっくりした記憶が蘇ってきました。
私が思う体育というのは人格形成のトレーニングなのではないでしょうか。
礼儀であったり挨拶であったり。
そういったことを、体育を通して養うもの。
欧米の人たちはスポーツを通して
こうしたことを習得してきてないんじゃないかと思います。
そして最大に異なる点は
自発的にやることか。
やらされることか。
体育で育ってきた日本人にとって、「楽しむ」=「原点に帰る」
が感覚的に難しい原因は
学生時代に植えつけられてしまった「やらされている感」が
大きな原因だと思います。
更新、楽しみにしております。
隊長、お疲れ様です。
なるほどー、と思いつつ、色々考えてしまうテーマでもあります。隊長が嫌いなはずはないMMAで言うと、UFCライトヘビー級王座に輝くMMA無敗のLyoto、ウェルター級のGSP、日本ではDEEPライト級王者で必殺三日月蹴りで勝ち上がる菊野克紀。所謂、MMAに向かないといわれた空手をMMAにアジャストし、恐ろしいまでの強さを見せている人々なのですが、Lyotoにしても菊野にしても、ちょっとスポーツマン、という感じはしないんですよ。完全に求道家な感じ。
MMAはスポーツへの道、まっしぐらですが、それはアメリカ主導の流れであって、ボクシング、レスリング(ちょびっと柔術)等の単体スポーツとして確立されたものをミックスした感じ。Lyotoや菊野の活躍を見ていると「楽しいスポーツ」ってヤツを凌駕している感じがするのです。
付和雷同とか、割と否定的に語られることが多い日本人のメンタリティの中に、武士道精神というか、道という考え方があると思います。先日、上野でどうしても見られなかった最後のマンガ展を熊本で見たときに、「あー、井上雄彦と同じ日本人でよかった。武士の国に生まれて本当に良かった。」と心底思いました(隊長は見ましたか?僕は最後、泣きましたよ。井上天才。国民栄誉賞とか即、ダッシュで届けないとまずい。)ネタはばらしたくないので詳しくは書きませんが、どんなにマンガが世界の文化になろうと、あの美術展を外国人が理解するのはかなり難しい。理屈ではわかっても、感覚ではわからないのではないか。逆に日本人なら理屈でわからなくても、何か感じられる。そういう美術展でした(別に美術展は武士道についてのものではないが、そこは剣の道がきり外せないテーマではある)。
武士道とか、武道はスポーツとダイレクトに結び付けられるものではないし、隊長もそういう話はされていません。ただし、武士道が日本のスポーツに影響してないわけはない。スポーツを「体育」と訳した際に、多少は武士の魂が影響したんではないでしょうか。身体を鍛えることに精神を鍛えることが入っちゃうのは仕方がないかな、という気がするのです。
ちばあきおの名作「キャプテン」で3代目主将を務めるイガラシくんって、中田英寿っぽいですよね。練習とか無茶苦茶やるし、勝負にストイックで。話すことも可愛げない。でも、無茶苦茶野球を楽しんでいる。ああいうメンタルは、なかなか欧米人にはないんじゃないかな、とも思ったり。あれ、野球道って感じがする。
まとまらず申し訳ないです。隊長の言っている事を否定したいわけではないのですが、コメントなどを読んでいると、隊長の論が、何となく日本を卑下して欧米を賛美するような、単純なものにされてしまうのは勘弁だな、と思い、ベテラン隊長ファンとして発言してみました。
学校の「体育」の授業が嫌いだった者からすると「体育」という言葉にあまり良いイメージがありません。「体育にまつわるエトセトラ」のつづき、楽しみにしています。
金子さんに直接名前を言われて光栄です。
こうやって、空間的時間的制約を取り払ってコミュニケーションができるインターネット(ブログ?)っていいなー、なんて単純に思いました。
城のケースとロナウドのケースは似ているようだが、実は少し違う。その違いこそが大きな弊害を生む。という金子さんの意見。
なるほど、と感心しながら、いやでもちょっと違うんじゃないかと思うところもあります。
ただ、今議論の細部について細かく言及してもあまり意味がないので、金子さんの「一番言いたいこと」を掴んでから何か自分の意見を言わせて頂けたらと思います。
では、楽しみに更新待ってます。
まずは日本が南アフリカ行きを決めてほっとしました。
ドイツ大会の直前、当時キャプテンだった川淵さんが私の地元で講演会をしたときに、トリノで金メダルをとった荒川静香さんの「楽しんできたい」という発言について言及し「楽しんで、それでも金メダルを取ってくるだけの実力があるから言ってもよかったんです、今の日本代表にそんなことをいう資格はないです」というようなことをおっしゃってました。
自分の能力の限界、最高の演技ができている最中は、そら楽しいやろう、と違和感を覚えていた直後の「報道ステーション」で中田英寿さんが古館さんからふられた「楽しいっていうのは、楽とかふざけるみたいなこととは違うんですよね」という質問に「とんでもない」と言わんばかりに首を振っている姿のほうに、共感できました。
ブラゼルの奥さんの言葉の真意はわかりませんが、そら、甲子園のあの雰囲気の中で打席に立つって、重圧があるでしょうけど、それだけじゃなくて楽しいと思います。
おはようございます。まずは日本のワールドカップ出場おめでとうございます。四大会連続でなんだかあっさり決まった感じですよね。昔はワールドカップに出るのはすごく大変でしたが、最近はアジア枠の増加に伴い出るのが当たり前の大会になりましたね。日本が強くなったのもありますが、ここ十年くらい時代の流れを感じます。
FC琉球もだいぶ調子が上がってこれから楽しみですね。先日、武蔵野で横河対鳥取を観に行きました。観衆も多くとても白熱しました。3-2で鳥取が勝ち来年のJ2に向けて弾みがついたようです。JFLも急速に進化、発展して驚いています。
金子さんの本文の「楽しんできてね」は緊張しすぎず気楽にやってきてねという意味合いが強いでしょうか。テストや入試なんかを受けようとしている人に対しても、頑張って来い!死ぬ気でやれ!といって変にプレッシャーを与えるよりも、気楽にいけ、楽しんで来いといったほうが力が発揮できるかもしれません。
日本も昔に比べれば欧米スタイルに近づいたので、楽しんで来いというほうが効果的かもしれません。「体育」も「スポーツ」、楽しむものに近づきつつあります。今はその過渡期なのかもしれません。
体育をGymnasticsとした者です。
体育は競技を楽しむよりも、身体能力向上のための軍隊式トレーニングといえるでしょうね。
玉木さんと対談企画を継続している金子さんなら重々承知のことと思いますが。
「スポーツ解体新書/玉木正之」に私は目からウロコでした。
体育ってなんだ?
スポーツってなんだ?
プロってなんだ?
アマチュアってなんだ?
考えることが出来たと思います。
「スポーツ」が好きな私としては
影響力を持った人が(金子さん)が
「スポーツ」の基本を語ってくれることは非常にうれしく思います。
何も玉木さん、金子さんの話を全て受け入れなさいということではなく、「スポーツって?」を思ってくれる人が増えることがうれしいのです。
長文失礼しました。
何はともあれ、祝WC出場決定。日本代表が何処へ向かうのか楽しみです。
このコラムに関するコメントではなくて恐縮ですが、日本がW杯出場を決めました。
日本代表のW杯予選と本大会の成績には、ジンクスがある。
予選の最中に気付いたのですが、フランス大会予選はジョホールバルで、ドイツ大会予選はバンコクで、出場を決めた。
ウズベキスタン戦に勝てばW杯出場という状況になった時、ウズベキスタン戦はドローで、何とかホームのvs.カタール戦で決めるという状況にならないかなと、不謹慎にも思ってしまいました。
何が起こるかわからないW杯予選で、そんな悠長なことは言ってられないんですけど、日本はまだW杯出場を“ホームで決めた”ことがないんです。
予選を戦っての本大会出場が2回という少ないサンプルの中に、また今回タシケントという国外の地名が、日本のW杯出場を決めた地名として刻まれることになり、“ホームでの出場権獲得”は次回2014年ブラジル大会に持ち越されることになりました。
単なる偶然だと思いたいですが、予選を国外で戦って出場を決めたフランス本大会とドイツ本大会の成績は、今更ここで書く必要はないでしょう。
気付いたことはまだあります。今のところ最終予選負けなしの日本ですが、フランス大会予選は韓国に、ドイツ大会予選はイランに、それぞれ1敗してます。これも単なる偶然だと思いたいですが・・・以下同文。
最終予選は、負けさえしなければ突破できると漠然とした想いがありましたが、カタールやオーストラリアにも勝って負けなしで行けば、過去の成績を上回ってくれるんじゃないかと期待してしまいます。
ただ、ここまで最終予選限定で述べてきましたが、仮に今回の最終予選を負けなしで終わったとしても、三次予選でバーレーンに負けていることで、“負けなし”ではありません。それがジンクスを破れるかの懸念材料ではあります。
浅い意見を長々と失礼しました。