欧州サッカーの世界において「世界最高峰」の称号は、リーグ自体のレベルによって与えられるものだった。まずはフットボール発祥の地に生まれたリーグがその称号を欲しいままとして、やがてブンデスリーガ、セリエAが続き、リーガ・エスパニョーラ、そして最近では再び母国のリーグがそう呼ばれるようになっている。
いうまでもなく、リーグとは複数のチームによって成り立つものである。ゆえに、欧州王者を輩出しようとも、60年代のリーガ・エスパニョーラ、70年代のエール・ディビジが「世界最高峰」と呼ばれることはなかった。国内に追随するライバルがあって、初めてリーグのレベルは評価されるものだった。
だが、ここにきてそんな伝統に敢然と立ち向かう人物が現れた。レアルの会長に復帰したペレス氏である。
マンチェスター・UからC・ロナウド、ACミランからカカー。この2人を獲得するために、チームはすでに200億円を超える資金をつぎ込んでいる。しかも、リバプールのシャビ・アロンソ、バイエルンのリベリあたりを獲得するのでは、との噂も根強くある。オリンピック・リヨンのオーラス会長が「レアルの新会長にペレス氏が就任してから、移籍市場は激変してしまった」と驚くのも無理はない。
ここ最近では、プレミアのビッグ4が大金を投じて選手を獲得するケースが目立っていたが、これは「獲らなければ獲られる」という要素も含んでおり、1チームだけが突出するということはなかった。
だが、レアルのようなやり方に追随しようとするクラブが、スペインにはない。可能性があるとすればバルセロナだが、ここ1年で、チームは下部組織重視の方向に大きく舵(かじ)を切り、3冠獲得という形でその方向性が間違っていなかったことを証明した。
プロ・スポーツが興行である以上、ビッグネームの獲得はビッグクラブにとって必須の条件だったのだが、バルセロナは、展開するサッカーの魅力で観客を惹(ひ)きつけようとしている。
とはいえ、カカー、C・ロナウドが一緒にプレーするチームも素晴らしく魅力的ではある。
かつてレアルが銀河系集団と呼ばれたころ、バルセロナには対抗するだけの力がなかった。今度は、違う。
確実に言えるのは、レアルの変貌(へんぼう)によって、新シーズンのリーガ・エスパニョーラは、世界で最も注目を浴びるリーグとなった、ということである。これはすでに、歴史的な出来事だと言っていい。



