本田圭佑がまた決めた。それも、今度は年間ベストゴールにノミネートされてもおかしくないようなスーパーゴールである。パスの出し手との相性に左右されがちなストライカーのゴールと違い、MFの、特に最近の本田のゴールは自力によるものが多い。決して強くはないフェンロで発揮されている得点力は、強いチームでならばより強力になると考えるスカウトは多いはずで、移籍話はいよいよ本格化してきそうである。
それにしても、移籍市場の傾向もずいぶん変わったものである。
つい最近まで、選手の大移動はW杯、もしくは欧州選手権の直後に集中するのが常だった。だが、今シーズンはレアル・マドリードの凄(すさ)まじい補強が引き金となり、まるで時代を塗り替えるかのような大物の大移動が続いている。もはや、選手にとってのショーウインドーはW杯だけではない。
以前とは比較にならないほど多くの試合、大会がスカウトたちの注視を受け、選手の価値も以前とは比較にならないほどの速さで乱高下を繰り返すようになった。つい数週間前、本田圭佑の移籍金を渋っていたチームがほとんどだったのがその好例である。
あまりにも活性化する移籍が選手にとって、あるいはサッカー界にとって吉と出るのかはまだわからない。ただ、この傾向に今後より拍車がかかっていくことだけは間違いない。
日本も無関係ではない。
W杯ドイツ大会の惨敗によって、一時、日本人選手の評価は地に落ちた感があった。ただ、あれから3年をかけて、中村、長谷部、そして本田といった選手の活躍が、スカウトたちの目を再び日本に引きつけようとしている。レアルがC・ロナウド入団発表の際、日本語表記のユニホームを用意したことからも明らかなように、マーケットとしての日本も、依然として魅力的な存在であるらしい。
選手にとってはチャンスの拡大、ただしチームにとっては戦力が流出する危機の増大である。
むろん、同様の危機はオランダも以前から直面している。それでも、彼らが欧州において一定の地位を保ち続けているのは、この国のリーグが才能の流出に見舞われる一方で、欧州のビッグクラブが目を向けないエリアからの才能の発掘に積極的だからにほかならない。
ならば、日本がどうするべきかという道も見えてくる。
世界は狭くなった。それでも、まだ欧州からは目の届かないエリアもある。そこに才能発掘の目を向けるかどうか。たとえば東南アジアであり、極東ロシアである。



