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【スポーツニッポン】バルサの"引力"は本拠地と郷土愛(2009年8月7日)

 強いチームならば世界中にいくつもある。だが、自分たちが育てた選手を中心に強くなったチームとなると、そうそう見つかるわけがない。日本サッカー協会の犬飼会長に限らず、育成を考える人間であればFCバルセロナに注目するのは当然のことである。

 だが、バルセロナに注目するのであれば、なぜこのチームの下部組織からあがってきた選手の数が突出しているか、まで考えなければならない。育成システムが優れているから?無論、外れではないが、完全な当たりでもない。バルセロナで育ち、しかし他のチームでキャリアを終える選手は数多(あまた)いる。彼らは、バルセロナの育成システムのなんたるかを熟知している。

 では、そうした人間が、バルセロナの成功を他で再現できただろうか。

 答えは否、である。


 いま、バルセロナの下部組織には世界中からの才能が集まってきている。イスラエルやベネズエラといった、お世辞にもサッカー強国とは言えない国からも、傑出した才能の持ち主が集まってきている。つまり、そこにある才能を育てるだけでなく、世界中から才能を集め、切磋琢磨(せっさたくま)させているからこそ、現在の成功があると見ることもできる。ならば、同様のシステムを導入したところで同様の結果が出せるはずもない。

 ではなぜ、バルセロナは世界中の才能を惹(ひ)きつけることができるのか。ひとつ大きいのは、カンプ・ノウというスタジアムの存在だろう。世界でも最大級の、そして最上級のスタジアムをホームにするという夢は、選手にとって圧倒的な魅力を持つ。カンプ・ノウは、いまや世界のサッカー選手にとっての「甲子園」になりつつあると言ってもいい。スタジアムの力。これも武器の一つである。

 そして、このチームが持つ最大の強みは、外国人からすると過剰とも思えることもある郷土愛だろう。多くのファンは、バルセロナこそが世界で最も素晴らしい土地であり、また世界で最も素晴らしいチームを持っていることを信じて疑わない。ゆえに、彼らは選手たちにもただ勝つだけでなく、世界でも最高のサッカーを要求する。そして、その要求が選手たちを磨き上げていく。

 こう書いていくと、他の地域でバルセロナの再現を目論(もくろ)むのはほとんど不可能なような気もしてくる。だが、忘れてはならないことがもう一つ。クライフが監督に就任する以前のバルセロナは、冴(さ)えないサッカーをする一ローカル・チームにすぎなかった、ということだ。ほんの20年前の話、である。



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